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雑学

M&A基礎知識② ~M&Aにおける企業価値の評価方法は?~

M&A担当の坂井です。

M&Aにおいて株式譲渡価格はどのように決まるのでしょうか?
企業価値の算定には様々な方法がありますが、中小企業のM&Aにおける価値は極めて相対的なものであり、絶対的なものは存在しません。
最終的に譲渡価格は、売り手・買い手との交渉によって決まります。売り手の財務内容が悪く収益性が低い場合でも、買い手がその事業を魅力的だと考えれば価値が高くなります。一方で、売り手の財務内容が良く収益性が高い場合でも、買い手がその事業に魅力を感じなければ価値は低くなります。
「人材」「技術」「営業基盤」「商品」などの魅力や、買収後シナジーをどれだけ創出できるかでも、買い手がオファーする金額は変わってきます。

ただ、実際にM&Aで企業の売却・買収を検討する際は、お互いの目線を合わせるためのたたき台として、その価値がどれくらいになるのかを算定して見積もる必要があります。
弊社では事業の特性や成長ステージなどを総合的に勘案して、複数の株式価値算定方法を用いて交渉の土台となる株式価値を算出しています。

株式価値の算定方法には代表的なアプローチ方法が3つあります。
①コスト・アプローチ(企業の純資産に着目)
コスト・アプローチとは、企業の純資産を基準に株式価値を算定する方法です。
代表的なものに「時価純資産法」があります。時価純資産とは、企業が保有している資産を時価に置き換えて、簿価純資産との差額を調整したものです。

中小企業のM&Aでは、この時価純資産に営業権(のれん)を加えた、いわゆる「年買法」と呼ばれるものがものが最も多く採用されています。
営業権(のれん)とは、企業の正常収益力を算出してその収益に倍率(一般的には2~4倍)を掛けたものです。業種や買い手とのシナジー効果によってその倍率は変わります。
メリットとしては、比較的恣意性が少ないこと・計算が簡単であり直観的に納得しやすいことがあります。
デメリットとしては、会社の将来の収益力が表せないこと・無形資産の価値が反映できないことがあります。

②マーケット・アプローチ(株式市場における株価に着目)
マーケット・アプローチとは、対象企業と類似する上場企業の各種指標を参考にして株式価値を算出する方法です。
上場企業の指標をもとにした倍率を用いるため、マルチプル法とも呼ばれます。よく指標として用いられるのに、EBITDAがあります。EBITDAとは、Earnings Before Interest,Tax,Depreciation and Amortizationの略で、償却前営業利益とほぼ同義です。
実務で中小企業の株式価値を算出する際には、EBITDAに倍率(類似する上場企業の指標)を掛けることで事業価値をもとめます。これに非事業用資産を加算して企業価値をだし、有利子負債を減算することで株式価値を算出します。
メリットとしては、市場で評価されている指標を用いるため客観性が高いことがあります。
デメリットとしては、評価対象会社と類似する会社の選別が困難であることがあげられます。
一般的には上場会社は複数の事業を行っていることが多く、対象会社と類似する事業のみ行っているようなケースは少ないことから、単純比較することは困難だといえます。また、非上場会社の株式は上場会社と比較して流動性が低いことも考慮する必要があります。

③インカム・アプローチ(企業の収益力に着目)
インカム・アプローチとは、企業の将来の収益またはキャッシュ・フローに基づいて株式価値を算定する方法です。代表的なものに「DCF(Discount Cash Flow)法」があります。
DCF法では、将来の予想収益を基に評価を行うため、対象会社の事業計画を策定する必要があります(買い手とシナジーが創出される場合は、M&Aによるシナジー効果も加味した事業計画を策定します)。
事業計画に基づき算出された、企業が将来生み出すキャッシュ・フローの割引現在価値を求めることで、事業価値を算出します。これに非事業用資産を加算して企業価値をだし、有利子負債を減算することで株式価値を算出します。
メリットとしては、M&Aによるシナジー効果も加味した会社の将来性を反映することでき、柔軟な評価が可能なことです。
デメリットとしては、客観的な事業計画を作ることが難しく、事業計画による結果の振れ幅が大きいことです。割引率をどう採用するかといったポイントもあります。

買い手はビジネスとしてM&Aをするため、最終的には「投資した金額をどれくらいで回収できるか」など経済的な価値で判断することが多いです。
弊社でM&A仲介や買いのアドバイザリー(FA)をする際は、買い手の投資回収目線も含めてシミュレーションをすることで意思決定のお手伝いをしています。

詳しくは、弊社担当にお問合せください。売り手様・買い手様問わず、M&Aに関する相談は無料で受付しております。
「他社からM&Aの提案を受けているが、問題はないだろうか」といったセカンドオピニオンによる意見や企業価値のシミュレーションも可能です。M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問合せください。
(お問合せ先:TEL:0155-24-3616 FAS部・坂井)

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