北洋凸版印刷
株式会社
元代表取締役/現会長
野津 雅之氏
株式会社
プロコム北海道
代表取締役
関向 樹志氏
昭和38年に創業し、長年、印刷業で地域に貢献してきた北洋凸版印刷株式会社。代表取締役の野津氏が後継を考え始めた2018年頃、かねてより親交のあったフロンティアパートナーグループに相談し、2019年12月に広告デザインを手掛けるプロコム北海道株式会社への譲渡を果たしました。「まるでお見合いのようだった」と語る、野津氏、プロコム北海道の代表取締役・関向氏のおふたりに、お話を伺いました。
会社の後継を考え
地域の企業にアプローチ
- Q.
- 野津さんが会社の譲渡を考えられた背景には、どのような想いがあったのでしょうか?
- 野津
- 3年前に妻を急病で亡くし、その際に、自分が病気になっても安心して入院できる状況にないことを痛感させられました。私の性格的な要因もあり、すべてを自分で把握しておかなければ気が済まないタイプだったんです。そんな中、年齢的にも真剣に後継を考えなければ従業員も不安だろうと思い、フロンティアパートナーグループの井上代表に相談しました。
- 関向
- その後、井上代表からぼくのところにお話をいただいたんですね。
- 野津
- 井上代表には、業種にはこだわらないから、社員が引き続きこの地域で働けるよう、十勝の企業で探してみてほしいと伝えました。高校・大学の後輩ということもあって遠慮なく頼みやすくてね。
- Q.
- 関向さんは、お話を受けての印象はいかがでしたか?
- 関向
- 第一印象としては正直、どう判断すべきか…と思案しましたね。広告デザインと印刷、業界的には近い位置にありますから、厳しい状況下にあることは分かっていました。ただ、フロンティアパートナーグループの井上代表からメリット・デメリット両方の説明を受けたことで、前向きに検討してみようかなという気持ちになりました。決して無理強いすることなくフラットに、そして丁寧に話をしてもらえたことが大きかったですね。
- 野津
- その後、2019年6月頃にフロンティアパートナーグループの事務所で関向社長に初めて会いました。お互いを知っていくという意味で、あれは本当にお見合いのようでしたね。自分としては隠し事なく、正直に話そうと意識しました。M&Aは、結婚と同じで “ご縁”なのかもしれません。
- 関向
- 本当にそうですね。フロンティアパートナーグループには、お見合いの仲介人のような役割で関わっていただき、相談や確認がしやすかったです。良いクッションになってくれたと感じています。
内製化とアカウント増で
シナジー効果を実感
- Q.
- 2019年12月にM&Aが成立しました。当時の率直な気持ちと、現在、感じられている効果をお聞かせください。
- 野津
- 成立した時は「これで安心して入院できる」と、ほっとしたのが一番でしたね。現在は、スポーツジムでトレーニングに励みながら、週に2日ほど出勤しています。
- 関向
- M&A後のシナジー効果として、それまで外注していたプロコム北海道の印刷物を内製化できたことが第一ですね。さらに、取引させていただくお客様の数が増えたことはもちろん、両社それぞれのお客様に提案できることの幅も広がりました。北洋凸版印刷は歴史ある会社ですから、その長年の実績や信用という部分は、プロコム北海道ではまだ培われていません。そういったものを得られたことも大きなメリットでした。
- 野津
- 譲渡後に新型コロナウイルスが拡大し、経営にも大きな影響を与えています。予測のつかない状況が続き、実は、心の中には「申し訳なかったな」という想いもあります。ただ、事業継承補助金を申請する際に、関向社長が書き加えてくれた事業計画書に感心したことが印象深く残っています。ぼくにはここまでのイメージは描けない、と思いましたから。関向社長の器の大きさを感じました。
広告デザインと印刷業
提案の幅を広げて挑む
- Q.
- 今後の展望は、どのように考えられていますか?
- 関向
- 現在は、引き継いだばかりということもあり、まずは、北洋凸版印刷の従業員さんをきちんと守っていくことと、長年、取引してくださっているお客様を大切にすることを最優先に考えています。今後は、従来の印刷業の範囲を超えて、お客様の要望にしっかり応えていくことが重要です。プロコム北海道が持つ能力と組み合わせることで、より可能性が広がるのかなと思っています。
- 野津
- 関向社長の性格や考え方は、当然、私のそれとは違いますから、私が続けてきた従来の基本的なやり方に捉われないことで、バネのように伸びる姿が見えてくる気がします。そういう意味で心配していません。
- 関向
- M&Aに際し、事業に必要な機械類の設備投資がほぼ終わっていたことも非常に嬉しかったですね。設備環境を整えることは、かなりのコストを要しますから。
- 野津
- 設備投資は補助金を活用しながら早めに行っていたんです。M&Aでは、それが結果的にプラスの要素になりました。地域の企業がしっかり継承されていくことは、今後ますます重要になるでしょう。会社の譲渡先や後継者を探している方は、事業継承補助金の活用を含めて、フロンティアパートナーグループのような専門家に相談してみることが、新たな歴史への第一歩になると思います。