TOPICSトピックス
M&A担当の坂井です。
北海道ではこの数年、「後継者不在を理由としたM&A」が急激に増えています。
私たちが支援している案件だけでも、十勝・道東・札幌などの各地域で、ほぼ毎月のように新しい相談が入ってきます。
・オーナーの高齢化(60~70代)
・子どもが道外で就職、戻らない
・従業員承継も難しい
・地域の人口減で売上横ばい
・金融機関からの働きかけ
・建設、設備工事、物流などで若手不足
これらが重なり、
「継げる人がいない → でも事業は必要 → M&Aでつなぐ」
という流れが、もはや“地域のスタンダード”になりつつあります。
本記事では、北海道の現場で多くの企業を支援してきた専門家の立場から、
「なぜ今、中小企業M&Aが増えているのか」「実際にどんな案件が動いているのか」
をわかりやすく整理していきます。
Ⅰ.北海道でM&Aが急増している理由
➀後継者不在が“待ったなし”の水準に到達した
北海道では、他県よりも「子どもが地元に戻らない」という構造的課題があります。
・札幌、本州に進学
・帰省しても就職はしない
・地元産業の労働条件が厳しい
・親も「継いでほしい」と積極的に言わない
その結果、「70歳前後の経営者が後継者不在のまま経営を続けている」という会社が増えています。
銀行・信用金庫もこの状況を認識しており、“事業承継の選択肢としてM&A”を勧めるケースが急増しています。
実態としては、
後継者不在 → 金融機関が相談を促す → 専門家へ紹介 → M&A検討
という流れが多いように思います。
➁黒字なのに廃業が増え、地域経済の課題に
北海道では、
実は「黒字廃業」が非常に多いのが現実です。
・仕事はある
・利益も出ている
・けれど後継者がいない
この“黒字廃業予備軍”が、地域経済にとって深刻な課題になっています。
自治体や金融機関は、地域の産業が途切れることを懸念しており、
M&Aによる承継を積極的に後押しする空気が強まっています。
➂大企業が北海道に進出し、地場企業の価値が上がった
近年、建設・設備・食品・物流などで道外の企業が北海道進出を加速させています。
理由はシンプルで、
・北海道はエリア拡大による“伸びしろ”が大きい
・競争が激しすぎない
・地元顧客をつかんでいる企業は企業価値が高い
道外企業にとっては、
買収=最速の北海道進出戦略になります。
そのため、
・建設、設備工事(特に水道・衛生設備)
・食品卸
・運送、倉庫
・サービス業(ホテル、福祉)
で買い手が急増しています。
➃北海道の“許認可業種”は価値が高い
北海道では、以下の業種は“希少価値”があります。
・建設業許可(特に管工事・土木・電気)
・水道施設、下水道
・清掃業
・介護、保育
・食品製造、加工
・産業廃棄物処理
特に地方(十勝・釧路・北見など)では、
許認可 × 技術者確保がセットになっており、
新規参入が非常に難しい。
そのため、
許認可+地域シェア+技術者
が揃っている企業はM&A市場で強く評価されます。
Ⅱ.北海道の中小企業M&Aで「実際に多い案件タイプ」
私たちが支援したり、毎月相談として来る案件の中で、特に多いパターンを紹介します。
➀建設・設備工事業(圧倒的に多い)
北海道で最も多いのが建設関連のM&A。
理由は、
・事業の継続性が高い
・許認可の価値が大きい
・技術者の確保が難しい
・官公庁案件が安定している
・道外企業の買収ニーズが非常に強い
特に、
・給排水衛生工事
・空調、ボイラー
・設備メンテナンス
・土木、舗装
・電気工事
は買い手が多く、小規模でも成約率が高い領域です。
➁食品卸・一次産業周辺(地域密着の優良企業が多い)
北海道の特徴は一次産業(農業・漁業)周辺の企業が強いこと。
たとえば、
・食品、飼料卸
・農機販売、修理
・陸送、倉庫
・水産加工、冷凍
・JA、漁協の取引が中心の会社
などは、道外企業が買いたがる分野です。
“地域密着で長く続いてきた”というだけで、十分価値があります。
➂サービス業・福祉(介護・保育)
人材不足が深刻な北海道では、福祉事業のM&Aも増えています。
・グループホーム
・デイサービス
・放課後等デイサービス
・訪問介護
などは地域に必ず必要で、事業承継のニーズが高いです。
➃運送・物流・倉庫
北海道は広く、物流網が不可欠。
そのため、
・トラック運送
・倉庫
・冷凍、冷蔵
・陸送、フェリー輸送
などは、地域のインフラとして価値が高く、
買い手がつきやすい分野です。
Ⅲ.北海道M&Aの“成功のポイント”
実務経験から見ると、
北海道の中小企業M&Aで成功するためには
以下のポイントが特に重要です。
➀「早めに情報整理した会社」ほど良い条件で決まる
M&Aはスピード勝負ではありません。
しかし、事前準備は早いほど強い。
・決算書が整理されている
・在庫、売掛金の管理がしっかりしている
・経理がタイムリー
・社長がオーナー依存業務を減らす努力をしている
こうした会社は、買い手から高評価されます。
➁ステークホルダー(社員・取引先など)との関係が良好
北海道では、“人間関係”が非常に重要です。
・従業員が定着している企業は価値が上がる
・地域の信頼、評判は買い手も重視
極端な話、
「地域の評価が高い会社=価値がある会社」
と言っても過言ではありません。
➂道外企業とのマッチングは専門家の役割が大きい
北海道の企業を買いたい道外企業は多いですが、
彼らは「誰に相談すればいいかわからない」のが実態です。
ここが専門家の腕の見せ所。
道外企業にとっての“参入コスト”
・地域人材の確保
・許認可の引継ぎ
・PMIの現実的な運用
こうした論点を調整できる専門家がいないと、
せっかくのマッチングが破綻してしまいます。
Ⅳ.M&Aは「会社を売る」のではなく「事業を未来につなぐ」手段
北海道の経営者の多くは、
会社を売ることに対して
「申し訳ない」「裏切りではないか」と感じます。
しかし実際には逆です。
・従業員の雇用が守られる
・顧客が困らない
・地域の産業が維持される
・社長自身も正当な評価を受けて引退できる
M&Aはあくまで、
“事業を未来につなぐ手段のひとつ” です。
特に北海道では、
一社が無くなると地域全体が困るケースが多く、
事業承継は社会的な価値がとても大きい。
私たちも、その「つなぐ仕事」に誇りを持っています。
最後に:北海道でM&Aを検討されている経営者の皆さまへ
もし今、
・後継者がいなくて不安
・金融機関から相談を勧められた
・第三者承継(M&A)を選択肢に入れて良いかわからない
・自社の価値がどれくらいか知りたい
・まず何から始めればいいかわからない
という状況であれば、どうぞ早めにご相談ください。
私たち(税理士法人FPCコンサルティング部)は、北海道のM&Aを“ワンストップで支援”しています
・M&A仲介
・財務、税務DD
・企業価値評価
・金融機関調整
・PMI(統合支援)
・組織再編(会社分割、株式交換)
・資金繰り改善
・後継者不在の課題整理
ここまで「すべてを一気通貫で対応できる」専門家は多くありません。
特に私たちは、
・北海道の各地域(十勝、道東、オホーツク、札幌)での豊富な事例
・金融機関との強いネットワーク
・地場企業の実務に精通したスタッフ
・年間30件以上の事業承継・M&A支援実績
という強みがあります。
「話を聞いてみるだけ」でも構いません。
地域の企業が未来へつながるよう、
最適な方法を一緒に考えます。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
(お問合せ先:TEL0155-24-3616 FAS部・坂井)

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